こんにちは!薬剤師の佐久間です。
早速ですが、皆さんはお薬を飲むときに必ず水で飲んでくださいと言われたことはありませんか?
そんな時、「胃の中に入れば同じなのだから水以外で飲んでも一緒だろう」と思った方もいるかと思います。
今回のブログでは、薬はなぜ水で飲む必要があるかについてお話したいと思います。
1)そもそもなんで薬は水と一緒に飲む必要があるの?
たまに薬を唾液で飲んでいるという方がいるのですが、薬はコップ1杯(180~200cc)程の水で飲むのが一般的です。(医師から水分の摂取量が制限されている方は除く)薬局で皆さんにお渡ししている薬は実際に効果を発揮する成分(有効成分)と薬を固めたり、水に溶ける時間をコントロールする成分(賦形剤:ふけいざい)からできています。
すなわち、一般的に薬は水で飲むことを前提にして作られているので唾液や少量の水で飲むことで薬が壊れにくくなり、薬の効き目が遅くなったり、弱くなったりしてしまう可能性があるのです。また、水の量が少ないと薬が胃にたどり着く前に食道に張り付いてしまい、傷がついたり、出血してしまう可能性もあります。そういったことから、薬は水と一緒に飲む必要があります。
2)水以外の飲み物はなぜいけないのか?
続いて水以外の飲み物で薬を飲んではいけない理由について説明したいと思います。水以外の飲み物で薬を飲むと、薬の効果に影響が出てしまうことや副作用という意図した以外の効果が現れて体調を崩してしまう可能性があります。実際に注意が必要な飲み物はどういったものがあるのか見ていきましょう。
・アルコール
アルコールは肝臓で分解されるということはよく知られているかと思いますが、薬の多くも肝臓で分解されます。そのため、お酒と薬を一緒に飲むことで分解が遅くなってしまい、薬の効果が強く出てしまうことがあります。特に睡眠薬や抗アレルギー剤では強い眠気がでてしまう危険性があります。
・牛乳
一部の抗生剤の中には牛乳に含まれるカルシウムと結合してしまい、効果が弱くなってしまうことがあります。また、薬の中には胃では溶けずに腸で溶けるように作られているものもあるのですが、そういった薬は胃酸に溶けないようにコーディングがされています。しかし牛乳と一緒に飲むとそのコーティングが壊れてしまい、効果が弱くなってしまう可能性もあります。
・グレープフルーツジュース
薬を分解する酵素をグレープフルーツが阻害してしまい、薬と一緒に飲むことで分解が遅くなってしまい、薬の効果が強く出てしまうことがあります。グレープフルーツが影響を与える有名な薬としては血圧を下げる薬がありますが、それ以外にも影響を与える薬は多くあるので注意が必要です。
・カフェインを多く含んでいる飲み物(コーヒー、紅茶、緑茶など)
風邪薬にはカフェインが入っていることがあります。そういった薬と一緒に飲むことでカフェインを多く摂ってしまうことになります。また、一部の薬では作用を増強してしまうこともあるので注意が必要です。緑茶はコーヒーや紅茶に比べればカフェインが入っている量は少ないのですが、濃い緑茶には多く含まれているので注意が必要です。
・ミネラルウォーター(硬水)
今まで散々薬は水で飲むように書いてきて、ミネラルウォーターは駄目なのか?と思われたでしょうが、ミネラルウォーターには、軟水と硬水の2つに分かれています。硬水にはミネラル(マグネシウムとカルシウム)が多く入っている水で、軟水は少ない水となります。硬水に含まれているミネラルは一部の薬と結合して効果を弱めてしまうので注意が必要です。軟水に含まれている量なら問題はないので、ミネラルウォーターで薬を飲む際には軟水を選ぶようにしましょう。
3)最後に
色々と注意が必要な飲み物を書かせて頂きましたが、他にも薬に影響がある飲み物はありますので、自分が今飲んでいる薬は大丈夫か気になったら、コップ一杯の水道水で飲むようにしていただければ問題ないかと思います。薬には今回お話した飲み物だけではなく、注意することがたくさんあります。もし気になることや、わからないことがあれば医師や薬剤師に相談してみてください。